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2011年11月21日 (月)

「光と翳の領域」そして、外山八郎さんのこと

串田孫一『光と翳の領域』を昨夜読了。『若き日の山』を味わいながら読み終えてすぐ、こちらにかかっていた。

講談社文庫のこの本を買ったのは中学生時代で、高校になると串田さんふうの文章を書いてみたりした。だが、あれは、串田さんだから成り立つ芸なのであって、くちばしの黄色いガキがやると嫌味極まりない。そういう挫折があり、『光と~』は東京へ持ってきたのに全部は読まなかったのかもしれない。今から考えるともったいないことをしたものである。著者自らの装丁にかかる「渡辺=串田流」とでもいうべきカバーはいつしか、取れてしまって、もうない。

この自選集は、戦前のものとしては唯一「牧歌」を収録しているが、これはなかなか骨が折れた。戦前の串田青年がどのような毎日を送っていたのかはむしろ「ある街」「紅色の薔薇」「古い詩集」「火曜日の午後」で雰囲気が伝わってはくるが、東京高校―帝大って、ナンバースクール以上にエリートなんだなという感じのほうが感動よりも強い。「手風琴で遊んだり、カロムを弾いたり」ってんだから。カロムとはビリヤードのことだ。パスカルをテーマに選んでいたなら三木清の研究との同時代であり、もっと暗い雰囲気になりそうなのだが、別世界のようなのだ。

ところで、「白い船」で「紀州から夜行列車で帰ってきた」というのがあるが、串田さんは外山八郎さんと話したりしたのだろうか――。
 母の世代、外山さんは私の母校の商業科(のちに独立して田辺商業高校。現在の神島高校)で教えられていた。「はっちゃん」(第一音節を高く発音)の愛称で親しまれた温厚な先生だが、テストの採点はきついので有名。暁星―東大という高学歴にもかかわらず、肺の療養のために帰省し、地方都市に居ついてしまったのである。ナチュラリストというつながりもあって、親交があってもおかしくはない。
グーグルを使い、Wikipediaを使ってみると、びっくり。ナチュラリストという以前に、銀行家の家に生まれ、暁星―東京高校―東大というコースだし、カルヴァンの『ジュネーヴ教理問答』のフランス語からの翻訳といい、これは接点がないほうが不思議(ついでにいえば、外山訳の『教理問答』のしばらくあとに森有正(1911年生まれ。やはり暁星―東高)のカルヴァン翻訳が同じ長崎書店から出ている)。

しかし、関西学院や同志社あたりからリクルートがあっても不思議ではない人なのに、なぜ田辺にとどまられたのだろうか。プロテスタントにはおりおりこういう人がでる。ヘブライ語、ギリシャ語、ラテン語ができるのに、大学の教授にはならず実業人だったり裁判官だったりする人。在宅ケア協会のHPに外山さんを追悼しての礼拝が文章アップされており、感動。私は、幼稚園時代の後半を、この長老派教会の経営する田辺幼稚園で過ごしたとはいえ、カルヴァンの徒にならず、ザヴィエルの徒になってしまった(笑)が、やはり尊敬すべき人の前では帽子を脱ぐ。
外山さんが東亜研究所におられたというのも、初めて知った。水田洋さんと1年ほどかぶるし、内田義彦さんもおられた所である。フランス語に堪能ということだから、インドシナ関係でも担当されていたのだろうか。ただし、これ以上、書くのはやめておこう。誠さんの言葉がある。
「故人がたたえられることは一切しないで欲しい。神様だけが讃えられてほしい。それが父の希望だ」

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『随想集・光と翳の領域』は私にとっても愛読書以上の存在です。拙ブログhttp://ameblo.jp/magicdressbrunnen/entry-11575954132.htmlをお読み頂ければ光栄です。

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